『アーティスト』を観た。

ヒューゴの不思議な発明』は、時間のあるときにこそっと独りで観に行って、
その後、連れが観たいというので付き添って、結局2回観てしまいました。
1回観てるのに、初めての顔して観られるかなぁと心配してたら、
おんなじところで、下手に知ってるもんだからもう「来たーッ!」てなもんで、
なんなら余計めに泣いてましたからね。
いやー、人間なんて単純なもんです。
・・・おいらだけ?

栄光を味わった人が華やかな世界から転落して挫折し、長く不遇の時代を経て
もう一度スポットライトを浴びる姿を見たとき、感動を覚えるものなのか。
ヒューゴの不思議な発明』でのジョルジュ・メリエスを見ながらふと、
そう思いました。
あの作品と同じくアカデミー賞5部門で受賞した『アーティスト』もまた、
そんな内容の映画でした。

モノクロでサイレント。上映時間100分。
サイレントだから言葉での細かい説明がなくて、言い方を変えると説明が多過ぎない、
だからストーリーもシンプル。
まあ上記のようなありがちな内容ではあるんだけど、だからこそ見る側の期待した
展開になって、安心して見ていられます。
主役のジャン・デュジャルダンはいかにもその当時の伊達な役者然としていて、
関係ありませんけど横顔、フレディ・マーキューリーみたいなだなぁと思いながら
眺めてました。
相手役のベレニス・ベジョは『ヒューゴの不思議な発明』でのママ・ジャンヌ役の
ヘレン・マックロリーにちょっと似ている顔立ちで、アザナヴィシウス監督の奥様
とのことで、そういう意味でもジョルジュ・メリエスとダブるような、
ダブらないような。

そしてやっぱりアギー君の名演技なくしては語れません!
スピルバーグ監督も大絶賛だったとか。
なんせカンヌ映画祭のパルム・ドッグ賞と、金の首輪賞を受賞してるんですからね。
・・・って、なんじゃらほい。(%)ゞ?

パルム・ドッグ賞
パルム・ドッグ賞は、カンヌ国際映画祭で優秀な演技を披露した犬に贈られる賞。2001年にトビー・ローズによって企画され、以来毎年、批評家たちの選考で選ばれた映画祭で上映された映画の中で優秀な演技を披露した1匹またはグループの実写もしくはアニメーションの犬に "PALM DOG" と記された革の首輪が贈られている。名称は同映画祭の最高賞であるパルム・ドールに由来する。
wikipedia

へえー。
金の首輪賞は今年、犬の情報誌であるDog News Dailyが創設した賞なんですって。

アギー君の、銃声を合図にパタンと横になって撃たれたフリをする演技(芸)が
なければ、この映画は成立しませんもの♪
火事の中、助け運ばれるジョージ・ヴァレンティンの巨体に押しつぶされそうに
なってましたしね。あれはちょっとヒヤッとしました。。


「支えてくれる誰かがいれば、人生はこんなにも輝く」

再び輝けたのは、ペピー・ミラーと、執事(マルコム・マクダウェル )と、
それからアギー君の支えがあったからですが、それともうひとつ、彼を支える
芸があったからでしょう。
その芸は、タップダンス。

おいら自身はタップダンスにそれほど深い思い入れはありませんが、
2003年の年末、「たかじん胸いっぱい」にゲスト出演したビートたけしさんが
たかじんさんからのリクエストでタップダンスを披露したのを思い出しました。
浅草時代の師匠である深見千三郎さんに最初に教わったのがタップダンスだったそう。
今でも毎日稽古を欠かさない、とか。
「オレ芸人だけどよ、芸が無ぇからさって言い出して」とガダルカナル・タカさんが
言ってました。

芸は身を助く。
ジョージ・ヴァレンティンとペピー・ミラーのタップダンスシーン、カッコよかったなぁ。