マイク・ベルナルド死去 続報

その後、東京スポーツ2/18付で「マイク・ベルナルドは首を切って自殺した」
というショッキングな記事が掲載されました。
東スポの取材に答えたのは、ベルナルドと親しかったという南アフリカ
キックボクサー、ヤン“ザ・ジャイアント”ノルキヤ選手。
彼もK-1で戦った経歴があります。
曰く、ベルナルドのご両親から聞いた話として、前日に話をした際に様子が
おかしかったことから翌早朝4時ごろにベルナルドの部屋を訪れたところ、
ナイフで首を切った姿があったそうだ、と。
ノルキヤによると、ベルナルドはうつ病を患っていたといい、昨年だけでも
4回自殺未遂をしていたといいます。今回も亡くなる3週間前に症状が悪化して
入院し、2週間前に退院したばかりだったそうです。
引退した2006年前後に離婚したことも遠因となっているのかもしれません。
心身ともにかなりのダメージを負っていたということでしょうか。

東スポに引き続き、2/19にはメンズサイゾー
自殺・パンチドランカー・リング死・ギャラ未払い...格闘技残酷物語
というタイトルの記事が掲載されました。
マイク・ベルナルドの死は、格闘技界では氷山の一角ではないか、ということ。
一例として、以下が挙げられていました。

 また先日、"PRIDEの番人"といわれた元格闘家ゲーリー・グッドリッジ(46)が、初期の慢性外傷性脳症であることを公表。これは一般的にパンチドランカー症状といわれるものであり、彼は現役中から深刻な記憶障害に悩まされていた。グッドリッジは「私は自分の生き方を愛している。後悔はしていない」としながらも、「ダメージはK‐1の試合によるものだと思う。総合格闘技では頭部にハードな打撃は受けていないから問題はなかった。K‐1では何度も頭部を負傷した」とコメントしている。

 K‐1創成期の立役者である佐竹雅昭(46)も、パンチドランカー症状に蝕まれた選手の一人。現役中から日常生活が困難になるほどの深刻な症状が現れ、医師にアルツハイマーの危険性を指摘された。佐竹は激しい打撃を受けただけでなく、2002年のPRIDEの試合で危険な投げ技によって頭部を負傷し、開頭手術を受けたこともあった。

さらには、こんなコメントも…。

「K‐1をはじめとした格闘技は、スポーツというよりも『興行』の面が強い。ファンを引き寄せるためにKO試合を連発しようとして、選手にあまりガードをしないように指示していたこともあった。他の歴史あるスポーツと違って選手を守る組織体系もしっかりしていないため、メディカルチェックやドクターストップの基準がいい加減だったことも事実。小規模な大会になると、血液検査や脳のスキャンもやらないところがあるが、生活がかかっている選手は出場せざるを得ない。興行主である格闘技団体は、選手の命を削って金に換えているともいえる」(格闘技関係者)

「ガードをしないように指示」ということがあったとすれば、前代未聞です。
頭部への攻撃に対しては本能的にガードしたと思いますので、実際には
ノーガードで攻撃を受けた、なんてことはなかったでしょうが。
ただ、グローブを着けて頭部へ攻撃があるルールの場合、グローブで防げるのは
より表面部分への外傷だけであって、内部、特に脳へのダメージはむしろ
思い切り叩ける分、より増幅されるのではないかと思います。
特にヘビー級では体格が大きくなる分、フック系のパンチを得意とする選手が
増える傾向にあるので、脳が振れる可能性が高くなるようにも思います。
当然、試合後のケアを手厚くしなければ、選手生命はおろか生命そのものを
脅かすダメージを負ってしまうことは十分考えられることです。
そこまでのことを考えなければ、主催者は大会運営に手を出してはいけない。
大会運営側もそれ相当のリスクを追わなければならないはずです。

さらに驚いたのは、ファイトマネー未払い問題。
初代タイガーマスクが活躍した新日本プロレス黄金時代の頃からすでに
そのような話はありましたが、、

ケガをすれば収入が途絶えるファイトマネー形式では十分な貯えができず、団体が傾けばギャラの未払いも起こりうる。実際、K‐1を主催していたFEGは多数の選手への報酬未払いが発覚し、グレイシー狩りで人気を博した桜庭和志(42)は2年以上もファイトマネーをもらっていないといわれ、彼だけで未払い額は数千万円とも。現在、業界のトップであった同社社長の谷川貞治氏(50)が多額の負債を抱えたまま雲隠れ中ということからも、格闘技界のいい加減さは窺い知れる。

これはひどすぎる。
脱税問題でK−1が傾きかけた時に駆り出された谷川貞治さんは
元・『格闘技通信』編集長であって、所詮は物書きさんです。
格闘技に関してはアドバイスできても、経営に関しては素人の彼に重荷を
背負わせて、この先谷川さんが追いつめられて変な選択をしなければ
いいけど・・・と心配してしまいます。
そして、桜庭和志という人はなんという人物なんでしょう。。
一時代を築いた彼をしてそのような憂き目にあうのであれば、もはや
若い世代の有望な人材がこの世界を目指さなくなってしまいます。
木村政彦に、『空手バカ一代』に、初代タイガーマスクに憧れて格闘技を
始めた人がたくさんいたはずです。桜庭さんも初代タイガーマスク
憧れた世代のはず。
子供が憧れるようでなければ、その世界の未来は限りなく暗いです。
そのためにも、今の現役の選手達が安心して続けられるようなシステムを
ぜひ確保して欲しい。そう強く願います。