映画『ヒミズ』追記

TBSラジオ「ライムスター宇多丸 ウィークエンドシャッフル」の映画評コーナー
「ザ・シネマハスラー」で、映画『ヒミズ』を取り上げてました。

リスナーの注目度も高かったようですけど、やはり賛否両論あったようで。
園子温監督のファン、原作漫画のファン、純粋な映画ファン、それから
被災地の方々、そうでない方々、それぞれの立ち位置から観たら
感じ方も好き嫌いもわかれてそりゃ当然ではありますが、少なくとも、
観た者の何かを激しく揺さぶる作品であることには間違いない、ってことでしょう。

宇多丸さんが最初に評価されていたのがロケーション(貸しボート屋あたりの)で、
原作漫画どおりのイメージのロケ地をよく探してきたなぁ、と。
原作漫画を後から読み直したら、確かに。
なんですけどね。
おいらは原作より先に映画を観たんですけど、そのときにね、ちょっと
違和感がありました。映画も後半になってからだったと思いますけど、
「川」と言っているセリフがあった時に思わず

「えっ、あれって川だったの…?」

池か沼のように見えてたんです。
だって、水がまるっきり流れて(るように見え)ないんだもん。
初めから川だとわかっていたら、川幅の中間で流れに逆らい半沈没する家も
また違ったイメージで捉えられたかもしれないのに。
押し流されそうになりながらも拳銃片手に川を突き進んでいく住田くんが
違った意味合いに思えたかもしれないのに。
宇多丸さんもつい「池っていうか沼っていうか」とおっしゃってましたけど、
あまりにも水の流れがなさすぎでしたよね。
もしかしたら『ちゃんと伝える』のイメージが残ってたのかもしれません。
あれは湖でしたけど。しかもあっちの方が川っぽく見えましたけど。


被災地シーンの使い方としては、宇多丸さん評を聞いて、そうだよなぁと
思いました。
虚構の空間としてバンバン見せつけられるには、まだまだ時間が必要な気がします。
見ていてやっぱり、生々しすぎる。

あと、宇多丸さんの「セルフパロディみたいに見えちゃう」という評がよかったなぁ。
そうそう、それを言いたかった。
ローソクのシーン、脈絡もなくパターンを踏襲しすぎててちょっとなんかね、
「またかい!」って思っちゃった。


住田くんの父親の描き方については、宇多丸さんは「蛇足」とおっしゃってましたけど、
原作漫画を読んで唯一違和感があったのが、父親を殺すに到った住田くんの動機です。
原作の方は、殺す動機が弱すぎる。
そこを強めるための園監督の設定だったのかな、と思ったりしました。


こうやって思い起こせば起こすほどいろいろ言いたくなってくる、良くも悪くも
問題作ってことなんだろうな、やっぱり。(強引なまとめ)


関連:
 → 映画『ヒミズ』を観て、あれこれ思う
 → 原作漫画『ヒミズ』を読んだ。