原作漫画『ヒミズ』を読んだ。

映画『ヒミズ』を観て、なにか腑に落ちない感覚が残っていたので
原作の漫画『ヒミズ』(新装版上・下巻)を読みました。


映画とはだいぶ設定が変わっていました。というか、順番的には
映画が原作設定をだいぶ変えて、というべきか。

うん、この原作でなら、わかります。
住田くんはやっぱりこういう終わり方にならざるを得なかったんだな、と。


近くにいた、夢を叶えるべく着実に進んでいくきいちには置いて行かれ、
一緒にいて、自分のために危ない橋を渡ってしまった正造は自ら追い払い、

自分で勝手に作り上げた言い訳のためのルールにがんじがらめになって、
自分の存在が認められ、期待してくれたバイトの人達を裏切り、
まともな大人だと信用していたホームレス(塚本)には裏切られ、
自分の中の世直しルールは夢の中でしか達成できず、

それでも、身も心も捧げてくれた茶沢さんによって、もしかしたら
“普通の”明るい未来、最高の幸せが手に入れられるかもしれない、と
やっと本気で思えるようになって、
ふと気づけば住田くんに残されているものは

なにもなかった。

アイツに許してはもらえなかった。
ヒミズは光の射すところには出られなかった。
そう決まってるんだ。


巻末の解説で樋口毅宏さんが触れているように、ヤングマガジン連載時と
単行本収録のラストが異なるそうです。
ヒミズ ラスト」でGoogle画像検索すると、連載時のラストシーンが
見られました。
茶沢さん目線だったら、連載時のラストがしっくりくるでしょうね。
衝撃的でもあるし。
単行本のラストは、住田くんが希望を抱きながらそれでも絶望から
逃れられなかったんだ、という余韻が強く残ります。
実は原作を通して読む前に、ネットでつい検索して連載時のラストを
先に見てしまいました。
おいらのような知り方はもちろん、おそらく連載時に最終話だけ読んだ
場合でも、連載時ラストの方が強く印象に残っただろうと思いますけど、
今回全話通して読んでみたら単行本の終わり方でも悪くないな、と思いました。


結局、絶望。
自分の人生だったらヤだけど、作品の上ではこういう終わり方、好きだな。

新装版 ヒミズ 上 (KCデラックス ヤングマガジン)

新装版 ヒミズ 上 (KCデラックス ヤングマガジン)

新装版 ヒミズ 下 (KCデラックス ヤングマガジン)

新装版 ヒミズ 下 (KCデラックス ヤングマガジン)