『にんげんっていいな』についての、一考察

はてブ最近の人気エントリーを見ていたら
「なぜおしりを出した子が一等賞なのか真剣に議論するスレ」
ってのがありました。
おもしろいことを考えるもんですな。
しかしながら、、考察が甘いのではないか?
しようがないな、おっちゃんもひとつ、考えてみましょう。


毎日放送制作の有名なアニメ『まんが日本昔ばなし』のエンディングテーマ曲
な訳ですから、ヒントはこのアニメと、この曲が作られた当時の時代背景が
あるはずです。

 くまの子みていたかくれんぼ

まんが日本昔ばなし』といえばなんといっても、たった2人で何役もこなして
いたあの声優さんでしょう。
市原悦子さんと常田富士男さんです。
歌詞の最初に出てくるくまの子というのは、テディベアやくまのプーさん
ように、ぬいぐるみのごとく気配を消して、ということを表現しています。
くまのぬいぐるみのごとく、隠れて覗いていた――

そう、くまの子というのは、『家政婦は見た!』で覗き見 家政婦を演じた
市原悦子さんのことだったのです!

人気ドラマとなった『家政婦は見た!』は1983年から放送が始まっています。
「にんげんっていいな」が作られたのは1984年。
このドラマのイメージが強く影響したことは想像にかたくありません。

この謎がとければ、どんどん見えてきます。

 おしりを出した子 一等賞

家政婦は見た!』で市原悦子さん演じる家政婦・石崎明子は、派遣先の
上流家庭のスキャンダルを見つけてはその家庭の前で告発、というかぶちまける
という内容でした。
物陰にかくれながら「あらやだ!」とつぶやきつつ、ニヤリとスキャンダルを
覗き見する。
つまり、「おしりを出した子 一等賞」とは、スキャンダルな部分を見せてしまった
ヤツっていちばんの好物だわ、尻尾を出した人 一等好き!ってことです。

 夕焼けこやけで またあした またあした

家政婦仕事を終えて家路につく家政婦の心境ですね。
また明日も覗いてやるぜ!ってなもんです。
あな恐ろしや。


じつは1番は大きく3つのパートにわかれています。

 いいないいな にんげんっていいな
 おいしいおやつに ほかほかごはん
 子どもの帰りを 待ってるだろな

中盤のこのパートは、“スポンサー様さまに媚びるパート”です。
当時のスポンサーはカルビー江崎グリコグリコ乳業明星食品です。
ほら、わかったでしょう?
視聴率も大事ですが、なんといってもスポンサー様。
スポンサーがあって、番組が続けられます。
スポンサーがヘソを曲げたら、番組の存続にかかわります。
だから。
こんなスポンサー様の商品を味わえるなんて、ああ人間最高!
て、おべんちゃら言ってる訳です。(言いすぎ)


1番の歌詞の最後は、時事ネタのパートです。

 ぼくも帰ろ お家へ帰ろ
 でんでんでんぐりがえって バイバイバイ

国鉄に先立って、日本電信電話公社が民営化されたのが1985年。
その前年の1984年に日本電信電話株式会社等に関する法律、いわゆるNTT法が
制定されました。
当時、電電公社という公共企業が民営化になるというのは大ニュースでした
(たぶん)。
世の中が変わる、旧態依然とした構造、国のあり方を変えろ!

そうです、じつは「帰ろ」というのは“変えろ”だった訳です。
つまり僕たちも変えよう、国を変えろ!という意味ですね。
だから、「電電 でんぐり返って バイバイバイ」。
電電公社が民営化になるよ、バイバーイ、ということになります。
さようなら電電公社、こんにちはNTT。
さらにはNTT株の高騰も予想していたかもしれません。倍々、倍。


2番はどうでしょう?

 もぐらがみていた 運動会
 びりっ子元気だ 一等賞
 夕焼けこやけで またあした またあした

今度はもう一人の声優、常田富士男さんをもぐらに例えてみたのでしょうか。
これ、じつは引っかけ問題なんです。
よく考えてみてください、モグラは視力の非常に弱い動物です。
もぐらに運動会、見えてない。
ほら、見えちゃいないんだからって、脇でウソをいうヤツがいる訳ですよ。
本当はビリなのに「あの子すんごい元気だ、1等賞だよ!」って。
しめしめと、ほくそ笑みながら夕日を背に帰っていく姿が目に浮かびます。
常田さん、もしかしたら知らぬ間に悪いこと、吹き込まれてたんじゃないでしょうか。
ちょっとこわい。


 いいないいな にんげんっていいな
 みんなでなかよく ポチャポチャおふろ
 あったかいふとんで 眠るんだろな

2番中盤のこのパートは、この後に放送される番組にヒントがあります。
『巨泉のクイズダービー』?
いえいえ、その後。
当時の土曜の夜といえば、『8時だヨ!全員集合』ですよ。
エンディングの『ドリフのビバノン音頭』にのせて終盤、加藤茶さんが
いってたセリフは・・・
「ババンババンバンバン 風呂入ったか」
「ババンババンバンバン 歯みがいたか」
そう、子供に対しての親愛なるメッセージが入るんです。
これはね、TBS系列子供向け番組の、伝統芸なんです。(決めつけ)
もうおわかりですね?
「みんなでなかよく、ポチャポチャお風呂に入るんだろうな?あん?」
「あったかい布団でいい子にして、眠るんだろうな?おう?」
だまされちゃいけませんよ、最後の「眠るんだろな」は推量じゃない。
脅し・念押しの疑問文です。
・・・どこが親愛だ。

そして、以下、同時事ネタパート。

作詞は山口あかりさんという方です。
作曲は小林亜星さん、そして編曲が久石譲さんだったんですねぇ。

あ、書くまでもありませんけど、おいらが勝手に考えただけですからね、
怒っちゃやーよ。